あらすじ
物語の舞台は、古代の奥深い蘇府です。大小姐の蘇婉児は何年も一人で空閨を守り、夫は一年中外に出たまま。広い屋敷の中で、側仕えの侍女・小桃だけが朝晩彼女のそばにいます。ある日、蘇婉児が鏡の前で花かんざしを挿していると、小桃はいつものようにそばで優しく世話をしています。ところが二人の距離が近づくにつれ、今までにない艶っぽい空気がひそかに生まれます。身支度の最中の何気ない接触から、互いに言葉にしないまま近づくまで、長く抑えてきた想いはついに主人と侍女の境界を越えます。奥座敷の寂しさ、ほのかに漂う香り、あってはならない禁断の恋が、刺繍の閣でひそかに燃え上がります……